大阪の現役調停委員に聞く。調停と不倫

離婚調停と不倫、浮気、不貞

男女で異なる「不倫」の意味
離婚調停申し立ての8割以上は女性からです。実際、不倫が原因で、調停に来られる方は多く、昔は不倫といえば男性の問題でしたが、今は女性の不倫が原因の離婚調停が圧倒的に増えてきています。時代は変わりましたね。


不倫した側が、「関係を立て直したい」と言い出すのは、ほとんどが男性です。女性は「別れる」と決意したら、別れる方にしか向かいません。


「奥さんと別れて不倫相手と結婚したい」という旦那さんは意外に少ないんです。でも、相手の女性は、いずれ別れて一緒になってくれると信じている。男性は基本的に家庭を捨てない。子どもがいる場合は特にそうですね。ところが、逆に女性の不倫の場合は、「もうとにかく旦那が嫌!」という状態になりがちです。同じ不倫でも、男女で全く質が違うのです。


夫婦関係修復に向けて、不倫特有の困難なハードル
調停では、離婚へ向けて話し合うだけではなく、関係修復を図ることもあります。しかし、不倫が原因の場合、今まで散々裏切られてきた相手の言うことを信じること自体が難しい。


相手を納得させる道はただ一つ。
例えば「浮気相手とは縁を切る」等、具体的で希望に沿った条件を、きっちりと書面で伝えることです。場合によっては、浮気相手も納得したという証拠を要求することもあります。
調停で関係修復を目指す道のりは、決して楽ではありません。


本当に、不倫だけが離婚の原因?
「子はかすがい」と言いますが、子どものいる夫婦は、男女であると同時に、父親・母親ですから、不倫が原因であったとしても、「子どものため」という一点で、もう一度やり直すということはありますね。お子さんがいない場合は、その一致がないのでどうしても難しい。

お互いが仕事を持っていたりすると、旦那さんの不倫が原因で離婚調停を始めたはずなのに、奥さんが「一人の方が楽。その方が仕事もはかどって、私はバリバリ稼ぐの」と言われたりします。
聞いている私たちとしては、「それでは、なぜ結婚したんですか?」と言いたくもなります。結局、きっかけが不倫だっただけで、離婚の原因は潜在的にあったということですよね。


私は、たとえ離婚のきっかけが不倫だったとしても、どちらかが100%悪いということはないと思います。愛する人に裏切られるわけですから、不倫された側は「許せない」と怒りに燃えています。調停では、そんな醜い感情もグッと我慢して、冷静に話し合いに臨まなければなりません。
でも、不倫された側から出るのは「あの人にこんなことをされた」という言葉ばかり。不倫には必ず、「その前」があります。

ただ、調停で「その前」が語られることは、本当に稀。そこが見えないと、本当の離婚の原因は闇の中。
このように、「不倫」という明確な原因があるように見えるケースでも、調停で離婚の原因を突き止め、お互いが納得のいく形で別れるというのは、至難の業なのです。